COLUMN
コラム
乳歯がなかなか抜けない……乳歯が残っているのに永久歯が生えてきたときの対処法
皆さま、こんにちは!
三田市の歯科・歯医者「ばんどう歯科」です。
「ぐらぐらしている子どもの歯がなかなか抜けない」
「いつまで待っても乳歯が抜けずに、永久歯がうしろから生えてきた」
など、乳歯から永久歯への生え変わりがスムーズにいかないことがあります。
乳歯は全部で20本もあるので、こういったトラブルを一度は経験したことがある、という保護者の方もいらっしゃるでしょう。
初めてこのような状況になると、「ちゃんと乳歯は抜けるのかな?」「これはこのままにしていて大丈夫なの?」と心配になりますよね。
今回は、乳歯がなかなか抜けないときの対処法についてお話しします。

板東 直子 院長
1985年徳島大学歯学部卒業 三木康楽賞受賞1985~87年兵庫医科大学歯科口腔外科研修医
1987~95年徳島大学歯科麻酔科勤務
1989~91年ロンドン大学イーストマン歯科病院にて研修
1995~2000年歯科英語翻訳フリーランス
1997~2000年堀池歯科 勤務
2000年7月ばんどう歯科開業 院長
2006年医療法人社団 祥皓会 理事長
2017年5月日本歯周病学会認定医取得
医院名:【医療法人社団 祥皓会 ばんどう歯科】
所在地: 〒669-1533
兵庫県三田市三田町7−4
Contents
乳歯が残っているときは早めに歯科を受診しましょう
「永久歯が生えてきたのに、なかなか乳歯が抜けない」という状況は、お子さまの歯の生え変わり時期には珍しいことではありません。
「この乳歯、だいぶ前からグラグラしてなかった?」「まだ抜けてなかったの?」と思われるかもしれませんが、ほとんどのケースで慌てる必要はないでしょう。
乳歯が抜けていないことに気づいたら、歯科を受診して医師に相談しましょう。
治療が必要なのか、このまま様子をみていて大丈夫なのかをしっかり診察させていただきます。
乳歯が残っているのに永久歯が生えてくるのはなぜ?
通常、永久歯が生える準備が整うと、乳歯は自然に抜ける仕組みになっています。
永久歯は乳歯の下で成長を始め、少しずつ歯ぐきを押し上げていきます。
永久歯が乳歯の根元近くまで到達すると、乳歯の根を吸収することで乳歯は支えを失い、ぐらぐらと揺れ始めるのです。
最終的に乳歯が抜け落ち、永久歯が適切な位置から生えてくる、というのが一般的な流れです。
それでは、なぜ乳歯が残っているのに永久歯が生えてくるのでしょうか。
乳歯が通常のタイミングで抜けない原因にはいくつかの要因があり、次のようなケースが考えられます。
乳歯の根っこが残っている
乳歯は、永久歯が下から押し上げてくることで根っこが吸収されて抜け落ちていきます。
けれども、何らかの理由でこの根っこの吸収が不十分な場合、乳歯がしっかり残ったままになり、永久歯が本来の位置ではなく、ずれて生えてくることがあるのです。
永久歯が適切な位置から生えていない
永久歯が斜めや横向きに生えてくることで、乳歯を押し上げる力が不十分になり、乳歯が抜けないままになることがあります。
その代表的な理由は、2つあります。
【理由1】永久歯のサイズが大きい
永久歯が通常よりも大きい場合、顎のスペースが不足し、生える位置がずれる可能性があります。
【理由2】顎の成長不足
顎の骨が小さい、または成長が不十分だと、永久歯が正しい位置に生えるためのスペースが足りず、歯列に乱れが生じることがあります。
乳歯が抜けないまま永久歯が生えた場合の影響
乳歯が抜けないまま永久歯が生えてくると、将来的にどのような影響を与えるのでしょうか。
歯並びが乱れる
永久歯が適切な位置に生えないため、隣の歯を押すなど、歯並びが乱れる可能性があります。
また、抜けなかった乳歯と永久歯が2列に並ぶ「二重歯列」になるケースも考えられます。
将来的に矯正治療が必要になるケースもあるので注意が必要です。
乳歯が抜けないまま永久歯が生えてきた場合、以下のような不正咬合になる恐れがあります。
叢生(そうせい)
厚生労働省の調査によると、12歳~20歳の前歯の不正咬合のうち、44.3%が叢生といわれる歯並びです。
日本人で一番多い不正咬合で、歯が顎に入りきらないで重なり合っている状態の歯並びをいいます。
乳歯が抜けずに残っていることで、永久歯が生えるスペースが足りなくなり、斜めに生えたり、歯列の内側や外側にずれることで歯並びが乱れる原因になります。
参照:厚生労働省 e-ヘルスネット「不正咬合の種類と実態」 >
過蓋咬合(かがいこうごう)
通常、上の前歯は下の前歯より少し前に出ているのが正常なかみ合わせですが、過蓋咬合は、上の歯と下の歯がかみ合う際に、上の歯が下の歯を過剰に覆っている状態です。
かみ合わせにさまざまな問題を引き起こす歯並びで、
・食べものを噛む力のバランスが崩れ、噛みにくさや顎の痛みを感じる
・歯が過剰に摩耗したり、ひび割れたりする
などの原因になることもあります。
永久歯が乳歯に押されて、適切な位置から生えていない場合に起こるケースがあります。
かみ合わせが悪くなる
二重歯列が原因でかみ合わせが不均衡になると、食事の際にしっかり噛めなくなったり、顎に負担がかかったりします。
歯がうまくかみ合わないため、噛む力が偏り、歯や顎に過度な負担がかかって、歯の摩耗や顎関節の問題(顎関節症)を引き起こすこともあるのです。
乳歯が抜けないときの歯科での対応
「子どもの乳歯がなかなか抜けない」とお悩みの方は、歯科を受診しましょう。
歯科医師がお口の中を直接診察し、乳歯永久歯、周囲の歯ぐきの状態を確認します。
・乳歯のぐらつき具合
・永久歯がどれくらい生えてきているか
・歯ぐきの腫れや炎症の有無
・かみ合わせの状態
などをチェックして、どのような診療を行うかをお伝えしますので、ご質問やご不明な点はどのようなことでもお尋ねください。
また、レントゲンを撮って乳歯と永久歯の位置関係や、乳歯の根っこの状態を確認することもあります。
レントゲン撮影では、
・永久歯が正常に成長しているか
・永久歯が乳歯の真下にあるか、それとも位置がずれているか
・乳歯の根がどの程度残っているか
・顎の骨の状態
などを診断することが可能です。
自然に抜けるのを待つ
永久歯に悪い影響を与える場合は抜くこともありますが、乳歯がグラグラしている場合、自然に抜ける可能性が高ければ経過観察で様子をみます。
永久歯が適切な位置に生えていなくても、自然に抜けたあとに正しい位置に移動することも期待できます。
乳歯を抜く
永久歯が生えてきているのに乳歯がしっかり残っている場合、乳歯を抜く可能性があります。
抜歯することで、永久歯が正しい位置に移動しやすくなります。
また、
・永久歯が生えているのに乳歯がほとんどグラグラしていない
・永久歯が生えてきてから数ヶ月経っても乳歯が抜けない
・歯がグラグラして食事をすると痛みが出る
・乳歯が邪魔で歯磨きがしっかりできない
・歯ぐきが炎症を起こしている
なども抜歯を考える症状です。
矯正治療を検討する
永久歯の位置が大きくずれている場合、矯正治療を始めることも検討しましょう。
早期に治療を行うことで、歯並びやかみ合わせの問題を最小限に抑えることが期待できます。
ばんどう歯科の小児矯正歯科
永久歯が適切な位置から生えてこない場合、小児矯正をご案内することがあります。
小児矯正とは、乳歯や永久歯が混在している時期に行う矯正治療のことで、子どもの顎の成長を促して、歯並びやかみ合わせを整える治療です。
小児矯正のメリット
小児矯正のメリットとして、以下のものがあります。
【メリット1】顎の成長を促す
子どもの成長期を利用して、顎の発育を無理なく適切な方向に導くことが可能です。
【メリット2】抜歯の可能性が低くなる
顎の成長を促すことで、永久歯が生えるためのスペースを確保でき、将来的に本格的な矯正治療をする際に、抜歯を避けられる可能性があります。
【メリット3】歯並びを悪くするクセを改善できる
将来、歯並びが悪くなるような「指しゃぶり」や「口呼吸」、「舌のクセ」などが改善できます。
【メリット4】心理的負担の軽減
子どものうちに歯並びが改善されると、学校生活や友達との交流でのストレスの軽減が期待できます。
ばんどう歯科の小児矯正の種類
当院では、小児矯正に以下のような装置をご用意しています。
床矯正装置
床矯正は、取り外し可能な入れ歯のような装置を使用する治療法です。
「床」と呼ばれるプレート状の部分が歯ぐきに密着し、顎の幅を広げて歯が生えるためのスペースを確保します。
プレオルソ
プレオルソは、子ども用の矯正治療の取り外し可能なマウスピース型矯正装置です。
顎の骨の発育を促進しながら、将来の歯列不正を予防する装置で、口呼吸や指しゃぶり、舌の癖などを改善します。
睡眠中と日中の1時間~2時間だけ装着するため、子どもが違和感を感じにくく、負担が少ないのが特徴です。
※完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
急速拡大装置
急速拡大装置は、上顎を骨ごと広げるための固定式の矯正装置です。
歯と顎の骨にしっかりと固定され、短期間で顎を拡大します。
バイオネーター
バイオネーターは、取り外し可能な「機能的矯正装置」で、筋肉の力を利用して歯や顎の成長をコントロールします。
成長期の顎の発育を自然な形で調整することが可能です。
マウスピース型矯正装置
透明な素材で作られた取り外し可能なマウスピースを用いて、歯を徐々に動かしていく矯正法です。
ほかの人に気づかれにくく、取り外して食事やお口のケアを行うことができます。
※完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
ワイヤー矯正(透明ブラケット)
歯の表面に透明なブラケットを装着し、ワイヤーを用いて歯を動かします。
透明なブラケットを使用するので、従来の金属製ブラケットより目立ちにくいデザインです。
複雑な不正咬合など、幅広い症例に対応可能です。
お子さまの歯並びのご相談は「ばんどう歯科」までご相談ください
乳歯が抜けないまま永久歯が生えてくると、保護者の方も不安になるでしょう。
ほとんどの場合で心配はいりませんが、なかなか抜けない場合は歯科を受診してください。
どのような対応が選択できるか、お子さまや保護者の方にわかりやすく説明しながら、適切な処置を行います。
三田市の歯医者「ばんどう歯科」では、お子さまを「歯医者さん嫌い」にさせないよう、お一人お一人の気持ちに寄り添ったやさしい診療を行っています。
小児歯科だけではなく、小児矯正歯科も行っており、将来の歯並びやかみ合わせまで考えた治療でお子さまのお口を守りますので、お口や歯並びのことは当院までお気軽にご相談ください。
おすすめの関連記事
2024.11.15 [金]
【小児歯科】乳歯がむし歯になりやすいのはなぜ?子どもの歯を守る5つの取り組み